2020
11/08
相続税の税務調査について(その6)
こんにちは。
更新について大変期間が空いてしまいました。
さて、今回は質問応答記録書あるいは調査報告書についてお話しましょう。
質問応答記録書とは税務署職員と農政者の質問応答の内容を問答形式によって作成された文章を
いいます。税務署職員は税務調査の際、ある課税において立証しなければならない事実があった
場合、税務署職員が客観的な証拠に基づく立証を行わなければなりません。例えば、「AがBに対
して現金200万円を贈与した。」という事実があった場合、税務署職員が金庫の中の現金の残高を
調べたり、預金通帳の入出金状況を確認したりして、その贈与したという事実を立証する必要が
あるのです。しかし、証拠書類等の客観的な証拠によって当該事実の立証ができない場合も当然
存在します。その場合は、前に述べた質問応答記録書を税務署職員が作成して、納税者の回答
(陳述)そのものを証拠とします。従いまして、税務署職員が質問応答記録書を作成して、納税
者に署名捺印を求めてきた場合は、何かしら税務署職員が立証したい事実に対して、直接証拠が得
られなかったため、質問応答記録書を作成して納税者の回答そのものを証拠としたいということに
なります。
この質問応答記録書に署名捺印すべきかどうかというのは、実は立会を行う税理士間でもちょっと
した議論になるところで、ある税理士の先生は一切署名捺印させないと主張される方もいらっしゃ
います。しかし、私はもしそのような状況に遭遇した場合は、その質問応答記録書をしっかり読ま
せて頂くことを条件に署名捺印することを認めております。というのも、署名捺印しないことで
税務署職員の心証を非常に悪くしてしまいますし、質問応答記録書について異議がある場合はその
場で税務署職員の方に補足、修正してもらうことでその後納税者にとって不利にならない状況
(場合によっては納税者にとって有利な状況)に持ち込むことが可能だからです。
私は公認会計士業務の監査で、「調査する側」に立つことも多いため「調査員の心証」というの
はとても大事なことだと思っております。税理士として納税者を守るというのはもちろん第一義
的に重要なことなのですが、調査員の心証を悪くするのは結果的に納税者を守るということにな
らないことと同義だと思っております。