2020
10/06
配偶者に対する相続税額の軽減(その3)
こんばんは。
さて、今回は配偶者に対する相続税額の軽減について付随する論点についての
解説になります。
相続税の申告期限はその相続の開始があったことを知った日の翌日から起算して
10カ月以内と定められております(相続税法27条1項)。
従って、10カ月以内に遺産分割を終了させる必要があるのですが、この10カ月
というのはなかなか長いようで短く、遺産分割で揉めているとあっという間に
過ぎていってしまいます。
そこで、もし10カ月で遺産分割がなされなかった場合は、「申告期限後3年以内
の分割見込書」と呼ばれる書類を税務署に提出することで、配偶者に対する相
続税額の軽減の特例や小規模宅地等の特例を遺産分割後にあらためて受けること
ができるようになります。
「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出後3年以内に遺産分割が行われたら
問題がないのですが、遺産分割で揉めて裁判沙汰になってしまうと、3年以内に
遺産分割が終了しないケースも出てきてしまいます。
その場合は、相続開始時の翌日から3年を経過した翌日からカウントして2カ月
以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請
書」を税務署長へ提出することで、さらに各種特例制度を受けられる期間が延長
されます。
なお、「申告期限後3年以内の分割見込書」及び「遺産が未分割であることにつ
いてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」によって遺産分割後にあらためて
使えるようになる特例制度は「配偶者に対する相続税額の軽減」「小規模宅地等
の特例制度」「特定計画山林についての特例制度」「特定事業用資産についての
特例制度」の4つになりますので注意してください。これ以外(例えば障害者
控除など)については書類を提出しても税額の軽減制度の適用はありません。
従って、節税を考えるならばやはり10カ月以内に遺産分割を終わらせて、申告
してしまうのが一番ですね。