こんばんは。
今回は、配偶者居住権等についての続きになります。
さて、相続税の評価通達は配偶者居住権や敷地利用権の評価について
算式を示しているということは前回お話しました。
具体例を用いて、配偶者居住権等についての税務上の評価方法について
ご説明しましょう。

(設例)夫が他界した。建物と土地の所有権は長男に相続させ、
妻は配偶者居住権を設定することにした。
相続税評価額 建物 20,000,000円 土地 30,000,000円
建物取得日 2009年11月1日(鉄筋コンクリート造)
相続開始日 2020年10月1日
建物と土地の所有者 夫
遺産分割日 2020年12月1日
配偶者の年齢 76歳0カ月
配偶者居住権存続期間 配偶者(妻)の終身(亡くなるまで)
建物と土地の相続人 長男
上記を評価通達の算式に参入して計算すればいいわけですが、
計算を行うための前提数値を先に求めておきましょう。
ここでいう前提数値とは、耐用年数、経過年数、残存年数及び複利現価率の4つを指します。

①耐用年数の計算
耐用年数は「減価償却資産の耐用年数に関する省令」に定める住宅用の耐用年数を1.5倍します。
今回は鉄筋コンクリート造なので、ここでの耐用年数は次の通りになります。
鉄筋コンクリート造耐用年数47年×1.5倍=70.5年→71年(6カ月以上切り上げ)
②経過年数の計算
経過年数とは、建築日から配偶者居住権が設定され た時(遺産分割日)までの経過年数をいいます。
2009年11月1日から2020年12月1日まで→11年(6カ月未満切り捨て)
③存続年数の計算
存続年数とは配偶者居住権が設定された時の配偶者の平均余命をいいます(終身でない
場合は配偶者居住権の存続年数)。この平均余命は生命表に基づいて求めます。
配偶者の年齢76歳→生命表によれば14.82歳の平均余命→15年(6カ月以上切り上げ)
④複利原価率の計算
1÷(1+r)n※  (※nはn乗)
r:法定利率(現在は3%)n:存続年数(15年)で計算を行うと
0.64186…→0.642(小数点以下第3位未満を四捨五入する) 
となります。

次回はいよいよこれらの数値を前述の算式に当てはめて、配偶者居住権と敷地利用権の評価を行っ
てみましょう。