2020
9/07
相続税がかからない財産について(その2)
こんにちは。さて、前回は相続税がかからない財産について総論的なお話をしました。
今回は前回の⑤で述べた相続人が受け取った生命保険金などのうち、一定の金額につい
ては、相続税のかからない財産(非課税財産)であることについてもう少し詳しく見て
いきましょう。被相続人の死亡によって相続人が受け取った生命保険契約の保険金又は
損害保険 契約の保険金のうち、被相続人が負担した保険料に対応する金額については、
その相続人が相続によって取得した財産としてみなされます(相続税法第3条 第1項3号)。
しかしこの規定をそのまま適用してしまうと、被相続人が自らが死亡等した際に相続人の
ために積み立てていた保険金に対して相続税が課税されてしまうため、被相続人の意図に
反する結果になってしまいます。そこで相続税法は社会政策的な見地からその相続により
取得したとみなされた保険金の合計額のうち「一定の金額」に相当する部分は相続税が
かからないこととしました。この「一定の金額」とは受け取った全ての保険金が「非課
税限度額」以下か、「非課税限度額」を超えているかで、「一定の金額」の算定方法が
相違します。
まず「非課税限度額」は以下の算定式によります。
非課税限度額=500万円×法定相続人の数
次に受け取った全ての保険金と非課税限度額を比較します。
★受け取った全ての保険金≦非課税限度額 の場合
→その相続人の取得した全ての死亡保険金の金額が非課税となります。
★受け取った全ての保険金>非課税限度額 の場合
→この場合は次の計算式によって算定された金額が非課税となります。
なお、非課税限度額の法定相続人に養子がいる場合カウントには 一定の制限があります。
実子がいる場合…養子のうち1人までを法定相続人に含めます。
実子がいない場合…養子のうち2人までを法定相続人に含めます。
一般に養子縁組は相続税対策になる、と良くいわれますが、この保険料の非課税限度額の
制度が養子縁組が相続税対策の具体的制度の一つと数えられています。
次回はこれらの制度について数値を使った具体例をご紹介しましょう。