2020
9/03
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(その4)
こんにちは。今回は小規模宅地特例の最終回の投稿になります。
さて、最終回の今回は具体例を用いて当該特例制度がどの程度有利なのかご説明します。
一例として特例を使わなかった場合とつかった場合の納税額を示してみましょう。
(例)被相続人甲が居住していた建物とその敷地を相続人乙(子)が
取得した場合(特定居住用宅地に該当。相続人は子1人とする。)
土地 9,000万円(300㎡) 建物 固定資産税評価額1,000万円
★特例を使用しなかった場合
土地9,000万円+建物8,000万円=相続税課税価格10,000万円
相続税課税価格10,000万円-基礎控除額(3,000万円+600万円×1(人))
=課税遺産総額6,400万円
課税遺産総額6,400万円×税率30%-控除額700万円=1,220万円
★特例を使用した場合
土地9,000万円+建物8,000万円=相続税課税価格10,000万円
相続税課税価格10,000万円×減額割合(1-80%)=2,000万円
減額後相続税課税価格2,000万円<基礎控除額(3,000万円+600万円×1(人))
従って、相続税納税なし
上記の例では、特例制度を利用しないと1,220万円の相続税が生じてしまいますが、
特例制度を利用すれば納税すべき相続税は生じないことになります。
当該特例制度を利用すれば、相続税課税価格が基礎控除内や配偶者控除内に収まって
相続税がゼロになるというケースは非常に多い事例で、それだけこの制度が納税者に
とって重要な制度であると言えるでしょう。
なお、事業を行っている宅地(特定事業用宅地)や不動産の貸付けを行っている
宅地(貸付事業用宅地)についても当該特例制度の適用はありますが、上記の限度
面積や限度割合が異なっております。
また、冒頭でも申し上げましたが、当該特例制度の適用については税務申告が必要と
されております。相続税課税価格に減額割合を乗じた結果相続税が納税なしになった
としても税務申告自体は必要ですのでその点は十分に注意してください。
自宅や自営店舗などの固定資産税評価額が高くて相続税が多額になりそうな場合も、当該
特例制度を活用すれば相続税が大幅に減額できるかもしれません。
自宅の相続について相続税でお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。