2021
2/02
被相続人の入院費用と未支給年金について
こんにちは。
もうすぐ所得税の確定申告の時期になりました。
今回は所得税と相続税の境目についてのお話をしましょう。
確定申告の時期の相談でよくされるのが「父が昨年亡くなった
のですが、亡くなった際の入院費用は医療費控除になるのです
か?」という質問です。
これについては、死亡する以前に支払った入院費用と死亡
後に支払った入院費用は分けて考える必要があります。
亡くなる前に支払った医療費は当然被相続人の所得から
医療費控除として計算できるのですが(準確定申告という
手続を行います。)、死亡後に支払った医療費は相続財産を
構成することになると考えるため、相続財産からマイナスす
ることになります。従って、上記例の場合は、父の所得等か
ら医療費控除として計算すること
はできずに、相続税の申告時に考慮される形になります。
上記に関連する話で、亡くなった方の未支給の年金はどのように
なるかについても上記と合わせてよく相談がある内容です。つまり、ある方
が無くなって、その方の年金が死亡後に2カ月分入ってくるという
ことはよくあることです。例えばある方が3月10日に亡くなって、
1、2月分の年金が3月15日に入金されるようなケースです。
一見相続財産に入りそうな気がするこのケースですが実は違います。
相続財産に入るか長らく議論があったようですが平成7年の最高裁
判決によって相続財産を構成しないことが明確に否定されました。
現在は未支給年金は現在は請求できる人が決まっており、亡くなっ
た方が死亡した時点に生計を同じくしていた人に限られます。
具体的には、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
が該当します(国民年金法第19条、厚生年金保険法第38条)。
遺産分割協議書に未支給年金が入っているものを未だによく見かけます
がこの処理は間違いですのでよく注意すべき事項でしょう。
(なお、準確定申告と未支給年金の問題についてはもう少し述べたい
ことがあるので、別の機会に触れたいと思います。)