2020
9/27
配偶者に対する相続税額の軽減(その1)
こんばんは。
さて、今回からは前回の配偶者居住権の説明に続いて、「配偶者」繋がりで
配偶者に対する相続税額の軽減について数回にわたってお話しましょう。
この配偶者に対する相続税額の軽減は一般には相続税の配偶者控除とも
呼ばれている制度です。
この制度は 相続人が死亡して、配偶者が相続した場合、配偶者に対しての
相続税の金額を大幅に軽減してあげましょうという制度です。
計算式は以下の通りになります。
1億6千万円と法定相続分の大きい方
⇒この金額までの相続税評価額が控除されます(非課税となります)。
具体例で考えてみましょう。
Q以下の各設例の妻の相続税の非課税金額について求めなさい。
【例1】
相続税評価額 2億円
法定相続人 妻、子(実子)1人、(法定相続分は妻1/2 子1/2)
妻の法定相続分は2億円×1/2=1億円
従って、
非課税金額:1億6千万円>1億円(法定相続分)⇒1億6千万円
【例2】
相続税額 4億円
法定相続人 妻、子 なし、相続人の兄弟1人⇒法定相続分は妻3/4 兄弟1/4
妻の法定相続分は4億円×3/4=3億円
従って
非課税金額:1億6千万円<3億円⇒3億円
最後に配偶者の定義について述べておきましょう。
この制度の適用を受けようとする配偶者は「婚姻の届出(民739①)」を行っている
配偶者に限られます(相基通19-2-2)。従って、事実婚いわゆる内縁関係の夫や妻
はこの制度の恩恵を受けられないということになります。
一般に法律の世界では、法律上の婚姻関係があっても、事実婚であっても実態は夫婦
なのであるから、できるだけ法律上の婚姻関係の権利義務が認められると説明される
ことがあります。しかし、相続税の世界ではこの説明が当てはまりませんので注意が
必要です。
私の事務所にも事実婚という状況でもこの配偶者に対する相続税額の軽減制度が受け
られると誤解されて相談に来られる方がまれにいらっしゃいます。